2026年8月生のキャリアコンサルタントの養成講座が始まりましたが、伝えことがなかなか伝わらないと感じています。
キャリアコンサルティングを学ぶと、要約、感情の反映、質問、焦点化など、さまざまな技法を身につけます。しかし、同じ言葉を使っても、相談者が「理解してもらえた」と感じる場合と、「誘導されている」と感じる場合があります。この違いは、技法の巧拙だけでは説明できません。
キャリアコンサルティング協議会の報告書は、キャリアコンサルタントの質を、知識や技術だけでなく、それを支える人間性、哲学、支援者としてのあり方から捉えています。では、「あり方」は面談のどこに表れるのでしょうか。
一例ですが、40代の相談者が「管理職への昇進を断ろうと思っています」と話したとします。
キャリアコンサルタントが「せっかくの機会なのにもったいない」と感じれば、無意識に次のような質問をするかもしれません。
「昇進すれば収入も上がりますよね」
「将来のために、挑戦してみてはいかがですか」
一見、前向きな働きかけです。しかし、その背後には「昇進することが望ましい」「挑戦しないのは消極的だ」という支援者自身のキャリア観が含まれています。
ただし、相談者が大切にしているのは、肩書や収入ではなく、家族との時間、専門職として働く充実感、健康の維持かもしれません。そうであれば、必要なのは昇進を勧めることではなく、「昇進を断ろうと思われるほど、守りたいものは何でしょうか」
と、その人にとっての意味を確かめることだと思います。
質問は単なる情報収集の手段だけではありません。「私はあなたをどのような人として見ているか」という支援者の姿勢が表れる行為でもあります。
相談者の成長を信じることは、相談者を早く行動させることではありません。迷いをなくすことでも、支援者が考える望ましい方向へ導くことでもありません。
迷いの中には、その人が譲れない価値観や、これまで背負ってきた責任、失うことへの恐れが含まれています。そこを十分に理解しないまま解決策を提示すると、相談者の自己決定を支えるはずの面談が、支援者の正解を押しつける時間になってしまいます。
キャリアコンサルティングの進め方を説明しても、、、説明しても、、、試験に受かるための最短距離だけを見ているように感じます。
技能を高めるためには、応答の良し悪しだけでなく、自分の内側も振り返る必要があります。
- 私は相談者に、どのような結論を期待していたか。
- その質問は相談者の理解のためか、面談を進めたい自分のためか。
- 相談者の選択を、心の中で評価していなかったか。
この振り返りは、自分の価値観や偏りを知り、それを相談者に背負わせないための専門的な自己理解そのものです。
国家資格キャリアコンサルタント第32回の口頭試問の内容が少し変わったのは、そこを理解してほしいということではないでしょうか。
私も、伝えるためのスキルを磨いていかなければな~と常々思っています。
1級キャリアコンサルティング技能士 公認心理師 精神保健福祉士 内藤友子