第13回 1級キャリアコンサルティング技能検定 合格のヒント!
今年は、昨年1級キャリアコンサルティング技能検定に合格された方を個人指導させていただきました。
その中で、初めてロールプレイを拝見した時に「すでに合格ラインだよね」という方がいらっしゃいました。
試験前で、不安を持たれている方も多いと思いますので、参考になればと今回合格のヒントを書かせていただきます。
昨年も、ロールプレイはとんでもない高得点であったのですが、残念ながら論述が点数足らずで今年再挑戦となりました。
今回依頼を受けたのは、自分がなぜ高得点なのかの観ていただきたいということと、今年のケースの練習です。
そこで、ロールプレイを実施してみると、見事フィードバックをしますと、「合格点!!」と言える面談でした。
それを後で評価区分に照らし合わせてみますと、以下の点となり、多くの方との違いを
お伝えします。
1.面談を進めるうえで、ベースとなっている「基本的態度」が受容的である。
・合格ラインの方
CCの考えをそのまま受け取っている。一方でしっかりSV視点を持ちながら
CCの話を聴いている。(基本的態度)
セッションの目的とそれに付随する質問が自己一致している。
・多くの方
途中までは、受容的に振舞っているが、途中から指導側の用意していた見立てを基に押していく。結果、あなたのここが悪かったよねとわからせて、CCはできていない人、指導側が正しいという構造に陥る。
2.CCを支援するために必要なことは、「躊躇なく確認」している。
・合格ラインの方
面談の流れを、キャリアコンサルティングの流れに沿って、確認し、受け入れ、一方で
SV視点と照らし合わせている。(関係構築力)
・多くの方
確認の質問などの裏には、出来ていないという指導者側の本音が伝わらないように遠慮する、あるいは、遠回しに、あるいは、褒めながらも、出来ていないところを探ろうとする。
3.CCを主役にして「セッションでやり取りする焦点」が絞られている。
・合格ラインの方
ただ質問を繰り返すだけではなく、途中から相談者が気になっていることを確認して、後半SVが指導できる項目を選んでもらっている。(問題把握力)
・多くの方
ひたすら質問と確認を繰り返し、指導者視点にたって用意していた内容を教えようとする。
4.CCがすぐに使える理論を分かりやすく説明し、事例を通して評価している。
・合格レベルの方
再度、事例に当てはめて、振り返りをするため、CCの気づきが自然と促される。(具体的展開力)自然な形で構造化でき気づきに繋がる。
・多くの方
用意してきた内容に当てはめ、間違いを説得しようとする。
と、このような違いがあります。
表面上は、そう変わりはない質問や展開方法なのですが、大きな違いを感じることができます。面接官はそこがわかるのです。
ご本人とやり取りしますと、キャリアコンサルティングの数はそんなに多くないが、毎々お金を直接いただくので、何かその方が一歩でも前に進めたらという気持ちで向き合ってきた。とのこと。ここは大きいと思います。
教科書であるキャリアコンサルティングの6ステップに当てはめたやり方だけでは対応できない現場力です。
なので、「こういうやり方がある」と教えられなくても、自分の中に様々な方策がストックされているということだと思います。
多くの方は、講座で習った内容を、試験に受かるための答えと思って進めてしまうのですが、当てはまる場合もあれば当てはまらない場合もあるということを心にとめて、進めていくことです。
そして、講座だけで行こうとする方は、様々な指導の道のりのストックを増やしていくことだと思います。
公認心理師 精神保健福祉士 1級キャリアコンサルティング技能士 内藤友子
第13回1級キャリアコンサルティング技能検定 指導者の判断軸を明確に!
養成講座を担当するようになってから、時間ができずに、久しぶりのブログになりました。
さて、今年も1級キャリアコンサルティング技能検定の試験の時期になりましたが、とても気になることがあって、お知らせしたく書かせていただきます。
1級を目指そうという方は、ご自身の中に「指導者の軸」は明確になっていますでしょうか。
指導者の軸がはっきり持てないまま、ロールプレイを繰り返しても、教育指導関係はできません。
今回はよくあるケースでご紹介しますと、試験問題では、「次の面談がキャンセルになってしまったという例」がほとんどだと思いますが、それの扱い方です。
残念でしたねとか、気になりますよね、ということで共感を示せばよいということはあると思いますが、受検者の中には、「キャンセルになることは、何らかの問題があったと思い込んでいる方」がいらっしゃるのです。
それは大間違いで、キャンセルになるのは、様々な理由があるという立場に立たなければなりません。
良い悪いという問題だけではなくて、人の発達という観点からも、相談者は、キャリアコンサルティングの時間以外にも自分で問題を解決できる力を持っているのです。その視点を持てていないのであれば、指導者が白黒思考に陥ってしまっています。
そうなると、他の指導においても、「事例相談者は問題のある人」と思って関わってしまいますので、指導者の正しさを押し付けることになり、教育指導関係が作れません。
これは一例にすぎず、事例相談者が発する言葉一つ一つを、指導者側がどう捉えているかに指導者の判断軸があり、指導者側が確立することが大切なのですが、それがはっきりしていない方が多く、ロールプレイを上手く進めようとばかりになっているために、堂々巡りに繋がっているように思います。
肯定的に関わっているつもりでも、多くの方が出来ていなかったこと探しになっています。それではキャリアコンサルタントは意気消沈して帰ってしまいますね。
30分のロールプレイをどう進めるかだけではなくて、今一度、指導者の判断軸が持てているかを見直してみてはいかがでしょうか。
ちなみに、ランバードは、セラピーに存在する共通要因を
治療外要因:40%
相談者側の要因(自我の強さなど)や、環境要因(偶然、幸運など)などで、
セラピーの参加不参加に関係なく、回復に役立つ要因がある。
治療関係要因:30%
セラピストとの人間関係によって生じるもの。共感、受容などがある。
期待要因:15%
いわゆるプラセボ効果に近いもの。相談者がセラピーに対して抱く期待などによるものがある。
技法要因:15%
各心理療法に独自の技法などによる要因がある。
と述べています。ですから、40%は、相談者側の要因もありますので、事例相談者と関係構築をしていくためには、「相談者自身の要因でこられなくなったかもしれないけれども、今日の事例指導では、キャリアコンサルティングの効果といった点で見ていきましょう」と伝えて、事例相談者の思い込みや負担を軽減してから、セッションの視点をどこに置くかをはっきりしてあげることが大切です。
公認心理師 1級キャリアコンサルティング技能士 精神保健福祉士 内藤友子
2024年度から、個人レッスンの日程を公開いたします。
第13回 1級キャリアコンサルティング技能検定論述の出題形式が変わりました。
2023年度後期より、1級実技(論述)試験の出題形式が以下の通り変更されます。
<出題形式>
変更前:必須問題と選択問題(企業、需給調整機関、教育機関の3分野から一つを選択)2
ケースの事例記録を読み、設問について記述式で解答
変更後:1ケースの事例記録を読み、設問について記述式で解答
となりました。
これまで論述試験は、必須問題1ケースと、選択問題は企業、需給調整機関、教育機関の3分野から一つを選択し回答する形式でしたので、論述試験を勉強する際、企業を選ぶ方、需給調整機関を選ぶ方、教育機関を選ぶ方は、その分野の勉強を主にしてこられたと思いますが、そうなると得意、不得意ができ、指導者のスキルとしてバラつきがでます。そのため、今後は、どの分野が出題されても安定的な指導ができることが求められます。また、問題数、時間が短くなり、より指導の視点が問われるのではないかと考えられます。
1つの事例に絞られて、これまでの問題の踏襲だとすると80分なので、4問~5問
1.この相談者Aについて、どのような問題があるか、あなたの考えをその根拠を含めて記述せよ。
2.この事例相談者の相談者Aへの対応について、どのような問題があるか、あなたの考えを記述せよ。
3.この事例相談者が抱えている問題に対して、優先して取り組むべき目標は何か。またその目標を達成するために、効果的な支援を行う方法や内容について具体的に記述せよ。
4.この相談者が相談者を支援するために必要なネットワークや環境への働きかけは何か。またなぜそれが必要であるか今京を記述せよ。
5.あなたが、この事例相談者の立場なら相談者Aに対してどのように対応するか、あなたの考えを記述せよ。
と、1事例で、考えさせるということが予測されますので、受検者の方は、これまでの選択ケースで見ていなかった分野もよく復習してポイントを押さえておく必要があると思います。
必須問題の問3は、2級の復習ということでしたから、時間として外されるかもしれませんね。
公認心理師 1級キャリアコンサルティング技能士 精神保健福祉士 内藤友子
2023年保存版 1級キャリアコンサルティング技能検定実技試験 合格ガイド発売割引のお知らせ
こんにちは
もうまもなく、1級技能士、LEC様の講座日程(9月12日)に公開されます。計画的に考えていらっしゃる方は、すでに日程のお問い合わせをいただいておりますので、1級講座をお考えの方は、日程を逃さないようにしてください。
また、フォローアップとして1月の空き日程には内藤のフォロー講座を予定しております。(日程公開後日)
今回は、2023年保存版1級キャリアコンサルティング技能検定合格ガイド発売割引のお知らせです。
Amazonにて、9月3週目を予定しておりますが、2023年保存版を発売予定です。
2022年版のご購入をお考えの方は、もう少し待って是非2023年保存版をご購入いただきたいと思います。
これまでの内容に加え、最新の第10回・11回・12回の過去問題解答例が付いています。
こちらをご覧いただくと、一目瞭然で、2級の論述とは違うということを理解していただけると思います。
面接では、改善が必要な面接、加点が期待できる面接をわかりやすく解説しています。
また、今回の保存版では、より高い視点を学ぶ ということで、1級技能士が受けた事例指導・グループスーパービジョンを掲載しています。
ページ数も50ページ増えてしまいました。
発売記念として、通常¥9570円のところを、このブログかホームぺージをご覧いただいた方は、税込み¥8000円でお受付いたします。(9月末まで)ホームページより、「1級合格ガイド希望」とお申込みください。
2級キャリアキャリアコンサルティング技能検定 論述対策
久しぶりのブログです。
第30回の試験に合格された方、おめでとうございます。また、未達に終わった方も2級は年2回の試験がありますので、次にチャレンジしてくださいね。
さて、今日は採点官から観た受検者の傾向から、論述問題におけるポイントをお伝えしようと思います。
問1 逐語記録は、一見簡単そうに見えますが、要点をまとめる書き方ができなければなりません。点数に差がでてしまうのは、相談者の発言を転記するだけになっている方です。
問2 CC視点の問題です。2020年度より試験範囲の細目がレベルアップされてから、常にお伝えしておりますが、最初からCC視点の問題を「自己理解不足」「仕事理解不足」「コミュニケーション不足」に当てはめて考えてまとめている方が多いということです。
2級は、このショートカットの思考から抜け出し、問題を指摘できるスキルアップが必要です。
問3 目標と具体的な方策について
どういう相談者だから、それに対して、どういう目標を立てて、具体的方策を書くということですが、今回指摘されたのは、ジョブタグ、キャリアインサイト、VPI等を薦めることが方策として書いてあり、ルールありきになっていないかという指摘です。
ここも常にお伝えしていますが、「設定した目標やその方策はどのような効果を期待できるのか」が書けていないと上記のように解釈されます。また、相談者がどのような状況にあるのかも必要です。
それらの要素があっての方策になります。
ただ、ツールを描けばよいと早とちりをしてしまった方は、意味がないことを深く理解する必要があります。
また、文章が冗長的で何を伝えたいのか理解しづらい解答が散見されるとあります。こちらも、国家資格キャリアコンサルタント資格の内容と変わらないと思って2級を受けておられるのではないかと思われます。
LEC(東京リーガルマインド)様で2級の講座もまもなく始まります。しっかり論述の力を付けて次回に望んでいただければと思います。
公認心理師 1級キャリアコンサルティング技能士 精神保健福祉士 内藤友子
第15回 国家資格キャリアコンサルタント論述出題傾向の変化と2級キャリアコンサルティング技能検定論述
こんにちは。
第15回国家資格キャリアコンサルタント試験の出題形式が変わりましたね。
それに伴って、2級キャリアコンサルティング技能検定の出題傾向も変わる可能性があります。
第15回の国家資格キャリアコンサルタント試験の出題から申し上げると
今後は、時間内に、事例を読み取り、「要約する力」がさらに求められます。
また、キャリアコンサルタントがどのような意図で質問したか、という「見立て力」も問われています。
そして、CLの問題とその根拠をCLの言動を通じて具体的に記述せよ、(これは2級で問われていることですね)
どのような方針でキャリアコンサルティングを進めるかを記述する(こちらも2級の問題からの問いに近くなりましたが、「方針」を持って、まとめていくことが大切になります。
2級技能士は、変更があるかわかりませんが、論述対策のうわべの書き方だけを真似ていては合格ラインに届きませんので、様々な事例を読み取り、問題の仮説を立てられるように準備してくださいね。