第13回1級キャリアコンサルティング技能検定 指導者の判断軸を明確に!

養成講座を担当するようになってから、時間ができずに、久しぶりのブログになりました。

さて、今年も1級キャリアコンサルティング技能検定の試験の時期になりましたが、とても気になることがあって、お知らせしたく書かせていただきます。

1級を目指そうという方は、ご自身の中に「指導者の軸」は明確になっていますでしょうか。

指導者の軸がはっきり持てないまま、ロールプレイを繰り返しても、教育指導関係はできません。

今回はよくあるケースでご紹介しますと、試験問題では、「次の面談がキャンセルになってしまったという例」がほとんどだと思いますが、それの扱い方です。

残念でしたねとか、気になりますよね、ということで共感を示せばよいということはあると思いますが、受検者の中には、「キャンセルになることは、何らかの問題があったと思い込んでいる方」がいらっしゃるのです。

それは大間違いで、キャンセルになるのは、様々な理由があるという立場に立たなければなりません。

良い悪いという問題だけではなくて、人の発達という観点からも、相談者は、キャリアコンサルティングの時間以外にも自分で問題を解決できる力を持っているのです。その視点を持てていないのであれば、指導者が白黒思考に陥ってしまっています。

そうなると、他の指導においても、「事例相談者は問題のある人」と思って関わってしまいますので、指導者の正しさを押し付けることになり、教育指導関係が作れません。

これは一例にすぎず、事例相談者が発する言葉一つ一つを、指導者側がどう捉えているかに指導者の判断軸があり、指導者側が確立することが大切なのですが、それがはっきりしていない方が多く、ロールプレイを上手く進めようとばかりになっているために、堂々巡りに繋がっているように思います。

肯定的に関わっているつもりでも、多くの方が出来ていなかったこと探しになっています。それではキャリアコンサルタントは意気消沈して帰ってしまいますね。

30分のロールプレイをどう進めるかだけではなくて、今一度、指導者の判断軸が持てているかを見直してみてはいかがでしょうか。

ちなみに、ランバードは、セラピーに存在する共通要因を

治療外要因:40%
相談者側の要因(自我の強さなど)や、環境要因(偶然、幸運など)などで、
セラピーの参加不参加に関係なく、回復に役立つ要因がある。

治療関係要因:30%
セラピストとの人間関係によって生じるもの。共感、受容などがある。

期待要因:15%
いわゆるプラセボ効果に近いもの。相談者がセラピーに対して抱く期待などによるものがある。

技法要因:15%
心理療法に独自の技法などによる要因がある。

と述べています。ですから、40%は、相談者側の要因もありますので、事例相談者と関係構築をしていくためには、「相談者自身の要因でこられなくなったかもしれないけれども、今日の事例指導では、キャリアコンサルティングの効果といった点で見ていきましょう」と伝えて、事例相談者の思い込みや負担を軽減してから、セッションの視点をどこに置くかをはっきりしてあげることが大切です。

公認心理師 1級キャリアコンサルティング技能士 精神保健福祉士 内藤友子

2024年度から、個人レッスンの日程を公開いたします。